ALTERNATIVE SPACE The White

Exhibition 展覧会情報

松本玲子「Only This Side Is Bright.」

Room #202 #205

松本玲子「Only This Side Is Bright.」

2026年10月15日 〜2026年11月01日

13:00〜19:00 月曜・火曜・水曜休み

トークイベント
ゲスト:梅津元(批評家/キュレーター)
10月25日(日)16:00〜17:00

Statement

交差点に差しかかると、ビルで遮られていた日射しが急に差し込む。
まなざす前方へと歩いて行くと、周囲が動き、刻々と景色を変えていく。自分自身がいま、先ほどまで外から見ていたその場所の中にいることを実感する。

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漠然と目に映しているもの。その膨大な物事の数々の目録はとても作れそうにない。
たとえば信号待ちの手持ち無沙汰に目を上げ、木々の葉のアーチ越しに空を見る。次にそこを通りかかるときも、やはり同じ場面で目を上げる。記憶に残っているとは言い難いようなもの。
ただ、それらの何かが変化したと感じた時にだけ、その場所や物のことを自分はいつの間にか知っていたのだと知る。

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繰り返す移動中の景色、特定の場所とタイミングでだけ目にするもの。
観察も記録もされない(できない)その不定形な場所と瞬間には、知覚や感覚を潜在的に変えるような何かがあるように思える。
そうした場所と瞬間と人の知覚や感覚との間には、自覚されないままに堆積し醸成される「鋳型」のようなものがあるのではないか。
「鋳型」は習慣や暗黙のルール、あるいは無視しても大丈夫なもの、当然そうあるものとして、自身と場所との間の認識を再生産する装置かもしれない。

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スケッチをしたり写真を撮ることには、物事を保存しておきたいという欲求がある。
けれども、絵を描くための具体的な行為や手段は、表面をなぞり影をつけつつも、対象を変換し、バラバラにしていく側面がある。
このように、画面の中で変化し組み替わっていく絵の行程は、移動しながら見る光景や、細切れに認識した場面に似てくることがあるだろうか。
この、何を成立させていくのか疑わしくもある方法をとおして、場所と人との間にあるのかもしれない鋳型の姿を見つけ出したい。
“Only This Side Is Bright.” ——こちら側だけが明るい——という、無数に遭遇してきたであろう瞬間の一つに近づいてみたい。

Biography

東京在住
多摩美術大学大学院絵画専攻油画研究領域修了

「絵画の中の自由と不自由」「想像と現実の領分」など、「絵を描く」ことの中で起きる現象を比喩的にとらえ、描く対象としてはスケッチや写真に写す間もない光景を選び、絵画という領土の中でその対象がどのような位置を占めうるのか、「描く」行為の問い直しとともに制作している。

おもな展覧会
2025 「きた路のはずれ/復路的反射角」The White、東京
   「VOCA展2025 現代美術の展望—新しい平面の作家たち」上野の森美術館
2024 「息切れのピース、息継ぎのピース」Art Center Ongoing、東京
2020 「描かれたプール、日焼けあとがついた」(日焼け派) 東京都美術館
2018 個展「補記」リマスタ、東京
2016 個展「Trespass」RISE Gallery、東京