Exhibition 展覧会情報
Room #202 #205
小川浩子「夜がわたしに語ること」
2022年01月11日 〜2022年01月29日
13:00〜19:00 日曜・月曜休み
Overview
小川浩子は継続するシリーズ作品が新型ウィルスの影響により制作が中断する中、図書館で次作のための調べ物中に司書より提示された「旧中島地区復元図(広島)」の中の地図記号が目にとまり、実際に現地を訪ね、その場所の変化や史実、周辺環境を調べていきました。
The White では四度目となる本展では、広島に足を運んだことによって明らかになる事象に対峙しながら構想が萠芽した作品や、市内を走行しながら時折足を止めスマートフォンで撮影した映像作品、世界各地で継続して制作中の「涙壺」のシリーズも現地で行なうなど、世界中で自由な往来がいまだに制限され、予定を変更しなければならない状況のなかで制作した作品を二つの展示空間を使用して開催いたします。
Statement
意志があれば四方に距離を延ばすことができると疑いもしなかった移動が、限られた空間の中で制限や制約に計らいながら生活をしなければならない状態が続いている。身動きが自由にとれない中で延ばした距離はその場所につみ重なり、澱むばかりになってしまった。訪れたい場所への切符さえも手に入れることができないこの状況は、いつか到達しなければならない場所の一つへ、その土地を踏みしめるにはまだつみ重ねる距離が十分に足りていないとわかりつつも、いま行くことができる場所へと向かわせた。それは子どもの頃に過ごした自宅前の池がいつの間にか埋められていて、それでも常にあふれでていた湧き水はきっと行き場を求め地底を流れ続けているように、進み続けなければ終わりを意味するような自然の成りゆきに近いものかもしれない。
もう存在しないはずの輪郭をなぞるうちに浮かびあがったかたちは次第に塊になって作品となった。そのかたちを説明することも追いつかないまま展覧会をむかえる。
Biography
埼玉県生まれ。美術大学卒業後、東京を中心に国内外の展覧会で多数発表。
主なグループ展に「神戸ビエンナーレ2007」兵庫、「中国広州現代アート展」(2015, ’17) 53 美術館、中国、「つくば国際アーティストインレジデンス2015」Tsukuba Art Center,「before sunrise after dark」(2019) アズマテイプロジェクト、横浜。個展に「分光法」(2017)「分子時計」(2018)「地形分析」(2019) The White、東京 など。
古代ローマで副葬品などとして使用された「涙壺」から着想し発展させたシリーズ作品に、フィールドワークであるランニングを取り入れ、世界各地のレースに参加しながら現地で制作を行う作品を展開、継続中。