Exhibition 展覧会情報
MWhat about: BRNO International graphic design biennial 2020
どうなる? ブルノ国際グラフィックデザイン・ビエンナーレ 2020
2019年07月30日 〜2019年08月29日
13:00〜19:00(7/30と8/29は18:00まで)日・月曜 休み
※ 8月11日(日)- 8月18日(日)夏期休廊
Overview
2018年の開催で28回を迎えた東欧チェコのグラフィックデザイン・ビエンナーレ「ブルノ国際グラフィックデザイン・ビエンナーレ」が,2020年以降の開催中止を余儀なくされています。本展は,ビエンナーレの続行を目指して企画されたデザイン誌『アイデア』誌上での架空のビエンナーレ「第29回 ブルノ国際グラフィックデザイン・ビエンナーレ 2020」のために各国のグラフィックデザイナーより集められたポスター作品を展示紹介するものです。
ブルノ・ビエンナーレは1960年代にチェコスロバキアの都市ブルノで始まった展覧会で,冷戦体制下のアーティストやデザイナーが自由な表現や権利,国際的な評価の場を求めるなかで誕生したものです。1964年に国立モラヴィア・ギャラリーによって創設・主催されて以来,拡張するグラフィックデザインという分野や,視覚文化とその重要性に関連した,展示,会議,関係プログラムを行う国際舞台として認知されてきました。しかし,主催のモラヴィア・ギャラリーは,2020年以降のビエンナーレの開催中止を決定し,これまでビエンナーレに関わってきた欧州のグラフィックデザイナーたちを中心にその是非が問われています。
1953年の創刊以来,国際的なグラフィックデザインの動向を取り上げてきたデザイン誌『アイデア』(誠文堂新光社)では,2016年度のキュレーターを務めたデザイナーのラディム・ペスコと,同展の招集デザイナーであったデザインチームåbäkeの2組からの呼びかけにより,今年6月に刊行した最新号(No. 386)にて世界各国のデザイナー26組より寄稿された全28点のポスターを掲載,ビエンナーレの置かれた状況を提示しました。本展では,誌面では見開きにまたがっての掲載となった各作品をポスターとして展示するとともに,今後のブルノ・ビエンナーレやデザイン・ビエンナーレの在り方を考える場としていきます。
関係の皆さん
すでにお聞きかもしれませんが,ブルノ・ビエンナーレを主催するチェコ国立モラヴィア・ギャラリーは,次回である2020年にビエンナーレを開催しないことを決定しました(おそらくはそれ以降も)。ブルノ・ビエンナーレは1964年以来開催を続けてきました──もちろん物事は変わり,永遠のものはありませんが……。
しかし,このままビエンナーレを終わらせるのは残念なことだと思った私たちは,第29回ブルノ・ビエンナーレ 2020に代わる,もうひとつの現実をつくることにしました。
そこで皆さんにおうかがいしたいのですが,第29回ブルノ国際グラフィックデザイン・ビエンナーレ 2020に向けてポスターのデザインをお願いできないでしょうか?
内容は問いませんが,時空連続体の消滅,あるいはそれに代わるものの創造(量子物理学から『バックトゥザフューチャー』にいたる何かを考える,あるいは他の何でも)などは,考えられるひとつの様式です。
こちらから金銭的な見返りは何もないうえ,雑誌掲載にあたるデータの締め切りは2019年5月15日と,時間的にも重荷だと思います。ただ,『アイデア』誌上で見開きのポスター/イメージを掲載することによって,それを実現可能にできるのです。いかがでしょうか?
よろしくお願いします。
ラディム・ペスコ,åbäke,ソフィー・デデレン,アイデア編集部
http://www.idea-mag.com/event/what-about-29th-brno/
Events
[トークイベント]ブルノ・ビエンナーレのこれまで
登壇予定:マキ・スズキ(åbäke),室賀清徳(編集者),イエン・ライナム(デザイナー)2019年7月30日(火) 19:00〜20:30 開場18:30
1,500円 20名(要予約 mail@sawadaikuhisa.com)
2018年までのブルノ・ビエンナーレのあゆみを振り返りつつ,2016年度のビエンナーレにて展示企画を行ったåbäkeのメンバー,マキ・スズキ氏(同展にあわせて来日予定)と,日本より企画に参加した室賀清徳氏,イエン・ライナム氏にその取り組みについてお話しをうかがいます。
[クロージングイベント]2つのビエンナーレから考える「グラフィックデザイナーと展覧会」
登壇予定:秋山伸(本展参加デザイナー),後藤哲也(デザイナー)2019年8月28日(水) 19:00〜20:30 開場18:30
1,500円 20名(要予約 mail@sawadaikuhisa.com)
本展のもととなった「第29回 ブルノ国際グラフィックデザイン・ビエンナーレ 2020」を掲載した『アイデア』386号では,昨年11月にアラブ首長国連邦で開催された中東初のデザイン・ビエンナーレ「フィクラ・グラフィック・デザイン・ビエンナーレ」を特集しました。企画編集を担当した後藤哲也氏による同ビエンナーレのレポートを出発点に,ブルノ・ビエンナーレへの参加をはじめ,グラフィック関連の展示活動に精力的に取り組むデザイナーの秋山伸氏を交え,「グラフィックデザイナーと展覧会」について考えます。
Biography
《参加デザイナー》
Radim Peško
ロンドンを拠点に活動するデザイナー・タイポグラファ。 2011年から16年まで,ブルノ・ビエンナーレの組織委員会に所属し,第26回・第27回ビエンナーレの共同キュレーターを務めた。ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(イギリス)とECAL修士コース(スイス)でタイプデザインを指導している。https://radimpesko.com/
åbäke
ロンドンを拠点に活動するグラフィックデザイン集団。パトリック・レイシー,ベンジャミン・レイキン,カイサ・ストール,マキ・スズキのメンバー4人は,イギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・ア ートを卒業した2000年から活動を共にする。ポスターやCDジャケットのデザインからインスタレーション,イベント主催,音楽レーベルでもあるKitsuné ほか,多岐に渡る活動を行う。http://abake.fr/
Sulki & Min
韓国・ソウルを拠点に活動するグラフィックデザイナー。出版物からインスタレーションまで,幅広い作品が国際的に認められている。ブルノビエンナーレとの関わりとしては,2012年に国際審査員を務めたのち,2014年には「Off-White Paper」と題する展示企画と出版物を発表した。http://www.sulki-min.com/wp/
David Pons & Lissana Jouret
David Ponsはグラフィックデザイナーとして,Lissana Jouretはアーティストとして,フランス東部のヴァランスを拠点に活動している。エキゾチシズム,精神世界,ポップカルチャーなどに関心があり,写真,編集,インスタレーションを通してそれらを作品へと「翻訳」している。https://david-pons.tumblr.com/
Bibliomania : Alexandru Balgiu & Olivier Lebrun
本+愛+楽しさ=BibliomaniaZak Group
Zak Kyesは,Zak Groupの創設者兼クリエイティブディレクター。デジタルプラットフォーム,ブランドアイデンティティ,アーティストや美術館とのコラボレーションなど,幅広い事業とデザインプロジェクトを展開している。https://www.zak.group/
Tamara Maletic / Linked by Air
芸術,教育,デザインに対する私たちの情熱は,私たちのクライアントに反映されている。私たちの規模はほかに類を見ないものだが,私たちは最先端のビジュアルデザインと複雑なプロジェクトを引き受ける能力,そして制度を変革する能力を兼ね備えている。私たちのデザイナーと開発者は緊密に協力し,お互いに触発されている。https://www.linkedbyair.net/
アーロン・ニエ
アーロン・ニエは,数々の受賞歴のあるグラフィックデザイナー・アートディレクター。国際グラフィック連盟(AGI)メンバー。現在は台北でスタジオ「Aaron Nieh Workshop」を主宰している。http://aaronnieh.com/
Laura Pappa & Elisabeth Klement
Laura Pappa & Elisabeth Klementはアムステルダムを拠点に活動するグラフィックデザイナー。彼女たちが取り組むノンコミッションワークには,教育,キュレーション,オーガナイゼーション,出版など,協働/共闘関係のもと実施される様々な活動が含まれている。これまでの主な活動としては,アスタリスク・サマー・スクール(エストニア)の運営のほか,無名のグラフィックデザイナーたちによる国際展示会「Signals from the Periphery」(タリンアートホール,2017年夏)のキュレーションなどがある。https://www.laurapappa.biz/
https://www.elisabethklement.com/
Noviki : Katarzyna Nestorowicz & Marcin Nowicki
Noviki studioは,グラフィックデザインとその周縁領域の境界を絶えず再定義するような,批評的なデザインアプローチを行うデザインスタジオ。アーティストやキュレーターとの密接な対話を通じて,出版,キュレーション,展覧会実践など,既存の「芸術」の枠組みに留まらない幅広いメディアへとその探求を広げている。http://www.noviki.net/
秋山伸
グラフィックデザイナー/パブリッシャー。1990年代半ばから,美術・建築の書籍や展覧会のデザインを数多く手がける。2010年末に東京の事務所「schtücco」を解散し,新潟の豪雪地帯に移住。2011年より自社の出版レーベル「edition.nord」をベースにソロ活動を開始。ブルノ・ビエンナーレでは,2012,2016,2018年の国際展に選出され,最後の2回には現地を訪れている。現在,造本装丁コンクール審査員,ミームデザインスクール講師。http://editionnord.com/
Alice Gavin & Valentin Bigel at Groupe CCC
クリエイティブデザインスタジオ「Groupe CCC」は,Alice GavinとValentin Bigelのメンバーから構成される。2人は友人同士であるとともに仕事上のパートナーでもあり,スタジオは新しいコラボレーションのかたちを目指してインターネット上で運営されている。「Groupe CCC」は複数のプロジェクトの総称でもあり,個々のプロジェクトはグローバルリサーチの一翼を担う。それぞれのプロジェクトが互いに影響し合い,その総体自体がグローバルな循環を示している。http://www.groupeccc.com/
Alyssia Lou
Alyssia Louは,ロンドンを拠点に活動するフランス出身のグラフィックデザイナー。フランスの大学を卒業後,デザインの実践を発展させるためにロンドンへ移住。彼女の作品は,通俗的ではないリアリティと日々の出会いにインスパイアされている。ロンドンを拠点に活動するスタジオ「OK-RM」とのコラボレーションも行っている。http://alyssialou.com/
LPPL
LPPLは,ロンドンを拠点に活動するアーティスト,壁画家,イラストレーター。 彼女がデザインしたアルカマル映画祭のロゴは,フランス・ダンケルクにある美術館FRAC Grand Largeにコレクションされている。Katja Gretzinger
Katja Gretzingerは,ベルリンを拠点に活動するグラフィックデザイナー・デザインリサーチャー。デザインに関する知識と実験,そしてその制作と調停に関心がある。文化領域でエディトリアル,ポスター/タイプデザインを中心に活動している。http://www.katjagretzinger.com/
In the shade of a tree: Sophie Demay & Maël Fournier-Comte
Sophie DemayとMaëlFournier-Comteによって2018年に設立された,ロンドンとパリに拠点を置くグラフィックデザインスタジオ。公的機関,アーティスト,キュレーター,フェスティバル,デザイナーらと密接な協働を行っている。 http://in-the-shade-of-a-tree.com/
Jon Sueda & chris hamamoto
Jon Suedaは,アート・カルチャー系の印刷と展示デザインに特化した「Stripe SF」の創設者で,カリフォルニア芸術大学のMFAデザイン課程の教授。 christopher hamamotoは,サンフランシスコのベイエリアを拠点に活動するデザイナーで,カリフォルニア芸術大学助教授。(クライアントに頼らない)自律的なグラフィックデザインの実践を行っている。http://www.stripesf.com/
http://chrishamamoto.com/
Jean-Claude Chianale
パリを拠点に活動するグラフィックデザイナー/作家。http://www.jeanclaude-design.com/
ナ・キム
ナ・キムは,ソウルとベルリンを拠点に活動している。Table Unionメンバー。主にアート・カルチャー系の仕事を手がけながら,視覚言語にフォーカスしたセルフ・プロジェクトも積極的に展開している。2015年ニューヨークでの「SET」をはじめ多くの個展を開催。V&AやMoMAなどでの国際展にも参加多数。キュレーターとしても活動し,フィクラ・グラフィック・デザイン・ビエンナーレにはアーティスティック・ディレクターのひとりとして携わった。http://ynkim.com/
服部一成
グラフィックデザイナー。1964年東京生まれ。1988年東京藝術大学美術学部デザイン学科卒業。ライトパブリシティを経て,2001年よりフリーランス。主な仕事に「キユーピーハーフ」などの広告,雑誌『真夜中』『流行通信』『here and there』のアートディレクション,美術展ポスター・告知物のデザイン,ブックデザイン,ロゴタイプなど。作品集に『ggg BOOKS 95: 服部一成』(DNPアートコミュニケーションズ),『服部一成グラフィックス』(誠文堂新光社)。Mevis & van Deursen Linda
van DeursenとArmand Mevisは,アムステルダムを拠点に活動するグラフィックデザイナー。2012年に行われた第26回ブルノビエンナーレにおいて,アムステルダム市立美術館で行われた特別展「Temporary Stedelijk」のアイデンティティがグランプリを受賞した。Betsy Bickle
ニューヨーク出身のグラフィックデザイナー。1970年代に活動を開始し,2012年以降はアメリカのテレビドラマ『ザ・ワイヤー』の登場人物トミー・カルケティの架空の大統領選挙運動を支援している。Pinar&Viola
2009年にPinar DemirdagとViola Renateによってアムステルダムで設立されたクリエイティブスタジオ。ファッションとテクノロジーのための特殊な効果を用いて,時代精神を体現する美的イメージを生成している。美と人を惹きつけるデザインの力を通じて,社会正義,豊かさ,繁栄,意識的かつ健康的な世界の実現をめざしている。https://www.pinar-viola.com/